「お子さんは軽度の発達障害です。」
小3の夏、先生から診断された時の私は驚きというより、どこか岸に漂着したような安心感があったかもしれません。
それまでは、困ったことがあっても
「男の子だから手がかかるのかな?」
「成長が遅いのかな?」
「私の対応が下手なのかな?」
乳幼児健診では何も言われなかったので、そう自分に言い聞かせていました。
診断されるまでに、「どうしたらいいんだろう?」と思ったことを振り返ろうと思います。
生まれてからの様子
帝王切開で予定日より一か月ほど早く生まれた息子は、体重が少なく保育器に二週間ほど入っていましたが、その後は問題なく育っていきました。
よく泣いていたので、上の娘に比べて「男の子は大変だな。」と思いながら、おぶって家事をしていました。
離乳食の後から、肉や野菜それぞれ単品の料理をほとんど食べることができませんでした。
しかし一番困ったことは、離乳食後もパクパク食べていたものを嫌がるようになっていったことです。
スパゲッティ、ドリア、チャーハンなど完食していたのですが、徐々に残すようになります。
そして、炊き立ての白いごはん、納豆、ハンバーグ、牛乳、ヨーグルト、お菓子、フルーツ以外を一切食べなくなりました。
これは良くないと思い、お腹が空いていそうな時に以前は食べることができたスパゲッティーだけ用意しますが、絶対食べようとはしませんでした。
他の食べ物でも同じようにやってみましたが、信じられない意志の強さで、一切口にしようとしませんでした。
幼稚園での様子
幼稚園入園前は、年齢相応の発達をしていると思っていたので、給食以外の心配はありませんでした。
年少から入園して、絵や工作などクラスで同じことをするようになると、
「なんて優秀な子が多いんだろう。」
と、最初はクラスのお友達の上手な作品を見て驚いていました。
しかし、時間が経つにつれ、息子がクラスのお友達のように上手くできないことに気づきます。
また、給食は先生が声をかけても、白いごはんしか食べれませんでした。
家での偏食が改善していなかったので、予想通りなのですが、「周りの子たちが食べて
いる様子を見て、食べれるものが少しでも増えてくれたらいいな。」と思っていました。
なので、年長の時に自分たちで掘ったサツマイモ、自分たちでついた餅を、その日限りでしたがペロッと食べたと先生から聞いた時は、本当に嬉しかったです。
園庭での遊びは、同じ学年のお友達との遊びがまだ早いようで、一学年下のお友達グループとよく遊んでいました。
子どもをのびのびと育ててくれる自由保育の素晴らしい園に感謝しています。
当時は、個人懇談で担任の先生に「息子は発達障害なのでは?」と相談しても、返事に困っている様子でした。
発達障害の症状については、当時情報を見つけることができなかったので、私は息子の症状が強迫性障害なのではないかと考え、本を参考に認知行動療法を意識した対応を息子にするようにしていました。
強迫性障害は発達障害の二次障害ともいわれており、現在も認知行動療法を意識した声掛けを息子に続けています。
小学校での様子
日々の憂鬱
小学生になると、毎日宿題をすることが息子にとっては大変なことになりました。
最初は「新しい生活に疲れているんだろう。」と考えていました。
しかし、漢字ノートへの書き写し、計算カード、プリント、どれも普通に取り組むことがなかなかできず、宿題をしながら泣いたり怒ったりという状態が一年間続きます。
「宿題をやったら好きなことをしよう!」
「好きなことをしたら宿題をやろう!」
「自分でやろうと思ったらやろう!」
など、いろいろ声掛けを試しましたが、状況は変わりません。
「きっと家で勉強することが、すごく嫌いなんだろう。」それ以外の理由が思いつきませんでした。
本人にとっても、見守る私にとっても、宿題はつらい憂鬱な時間でした。
逃したチャンス
ふるえる字
同じ頃、息子が発達障害だと気づくチャンスを逃す出来事がありました。
小1の個人懇談で宿題のことは家庭での問題だと思って担任の先生に相談できませんでした。
そんな懇談の最後に先生が言いにくそうに、「息子さんの字の書き方が気になるんです。」と話しを切り出されました。
「字を書く時に、鉛筆で描く線が震えてるんです。」
と息子が書いた字を私に見せてくれました。
しかし、それだけでは私にとって毎日見ている字で何が問題かわからないので、他の生徒さんの字も見せていただいて見比べます。
すると確かに鉛筆の線が震えています。
その時は、先生と二人で
「どうしてなんだろう?」
と首を傾げることしかできませんでした。
今から思えば、発達障害の特徴が表れていたのですが、そうとは気づくことができませんでした。
「普通に字を書けるようになるのだろうか?」と私は不安になりました。
頭のクラクラ
小2の秋頃、「頭がクラクラする」とよく言うようになります。
本を読むときは額をソファーの背に押し当てたり、手で押さえたりしながら
「こうしないと頭がクラクラして読めない」
と言うのです。
しかし、私が「目が悪くなるから、姿勢を直そうか。」と言うと返ってくる言葉で、その前後に何事もなかったかのように元気に外で遊んでいたりするので、「姿勢が悪い時の言い訳だろう。」そう思ってしまいました。
「何かの情報に出会っていれば」、「私が気づいて対応していれば」と後になって思う出来事でした。
診断の前後とその後については、あらためて振り返ろうと思います。